「チーム医療」による新しい産科医療のカタチを市立恵那病院に誕生させたい。

市立恵那病院 管理者細江 雅彦

医師全員に共通する、総合医療のマインド Primary Care

当院で働く医師たちが大切にしているのは、総合診療のマインド。それは、目の前の患者さんが抱える問題に対して、
「まず診てみよう。そして出来る範囲内で対応して、更なる治療が必要なら専門医と協力して診ていこう。」という臨床医の根源にあるピュアな姿勢です。
恵那市のように、いわゆる「地方都市」と呼ばれる土地では、「地域の医療ニーズに応えられる医師」であることが最も重要であり、私たちは専門領域を超えて学び合っています。
今回の産婦人科開設は、市民の皆様の声に応えるかたちで実現に至りました。産科医はもちろん、他科医師も総合診療医としての本領を発揮できるよう、産科領域における診療能力の向上に努めてまいります。

恵那市で生まれる、新しい産科医療のカタチ

私たちが目指す産科医療とは、産科医の身体的・精神的な負担を、さまざまな職種がサポートする「チーム医療」です。
24時間気を抜くことができない産科医療は、専門医だけでは成り立ちません。他科医師や地域の消防隊も産科救急の技能を学び、助産師、看護師も超音波や分娩監視装置の諸検査に精通することで、産科医を中心とした多職種チームによる産科医療体制を構築したいと考えています。全国的な産科医不足の主な原因は、慢性的な長時間労働や、過重労働と言われています。
私たちは、院内連携、地域社会・行政との連携によって、産科医の勤務環境を整え、末永くこのまちで新しい命の誕生を見守り続けたいと考えています。

恵那市で生まれる、新しい産科医療のカタチ 当院、地域社会・行政との連携によって、末永くこのまちで新しい命の誕生を見守り続けたいと考えています。
あらゆる産科症例に対応できる体制作り

ALSO-Japan周生期医療支援機構

妊娠・出産には、救急対応の知識が必須です。当院では、新たに迎える伊藤雄二医師の力を借り、あらゆる産科症例に対応できる体制を整えたいと考えています。
伊藤医師は産科医でありながら、約7年間長崎の離島で全科にわたる幅広い知識を持って診療にあたり、その後もへき地・離島の産科医療と向き合いながら、「ALSO」
(Advanced Life Support in Obstetrics)という産科救急蘇生法の実技講習会のインストラクター・特別指導教官として全国を飛び回り、講演会などの啓蒙活動に取り組んでいます。先日、市内で開催された「ALSO-Japanプロバイダーコース」には、浅野院長を筆頭に、当院から多くの助産師や他科医師が参加し、妊娠初期の合併症から、早産、破水、妊婦の蘇生法など、大変有意義な専門指導を受けることができました。ALSOでの学びは、当院の産科医療体制を支える大きな力になったと感じております。

新たな専門制度に向けて

当院は、「公益社団法人地域医療振興協会」に属し、総合診療医・家庭医を目指す医師に向けた再研修プログラムや、米国式研修法で総合医を養成する後期研修プログラム(JADECOM-NKP)など、次世代の地域医療を担う人材の育成に励んでおります。近く予定されている、日本の医師の新しい専門領域として、「総合診療専門医」の創設に向け、当院でも有効な教育プログラムの構築を進めております。産婦人科開設後は、産婦人科専門医かつ日本プライマリ・ケア連合学会認定医および認定指導医である伊藤雄二医師にご尽力いただき、女性のトータルヘルスケアに興味を持つ医師の研修支援コースを設置する計画です。
女性医学に興味を持ち、女性の一生涯に渡る健康管理に興味のある方は、ぜひ奮ってお申込みください。

新たな専門制度に向けて 女性のトータルヘルスケアに興味を持つ医師の研修支援コースを設置する計画です